大人の発達障害(ADHD)は営業職に向いているのか。私の営業職での失敗と成功
おっす、
おら佐山。
今日は、「ADHDは営業職に向いている」は実際どうなのかについて個人的な見解を述べていきたいと思います。
あくまで佐山の実体験に基づいた記事なので、コールセンターの発信業務のお話がメインになっています。
「ADHDは営業職に向いている」は半分正解で半分間違い
以前別の記事で述べたように、佐山は初めての3ヶ月間のコピー機の営業職で失敗し、
その後のコールセンターでの発信業務3ヶ月間で成功しています。
スポンサーリンク
新卒入社の営業会社を3ヶ月で退職し、ADHDと診断された佐山は、
「ADHD 適職」で検索し、ひたすら次の就職先で成功するためのヒントを調べ続けていました。
検索結果1「ADHDは音楽家に向いているよ!」
検索結果2「否、ADHDは発明家である」
検索結果3「ノンノン、芸術家デース!」
佐「正直に社会不適合者って言ってくれ…」
みたいな感じになってしまい、しばらくネガティブになっていたのを覚えています。
他には起業家とかプログラマーとかが向いているという意見も多かった印象ですね。
ADHDの人は独特の感性や発想力を発揮する人が多いらしく、
上記のような細かいルールや事務的な並行作業が少ないクリエイティブな職が向いているという結論に至っているという事でしょうね。
しかし、佐山のように大人になって発達障害と診断され、絵を描くのが子供の頃から好きだ、だとか、PCのデザインを大学で専攻していた、なんて経歴・経験・技術や知識も持たない普通の人からすると、
クリエイティブな職は、敷居が高い職業なのではないかと感じました。
そこで比較的敷居が低く、知識や経験のない初心者でも歓迎される求人が多い、
尚且つADHD患者に向いているという意見も多いのが、
「営業職」です。
営業職がADHDの人に向いている理由で多く見受けられたのが、
・外回りの営業職の場合は比較的自由度が高い
・並行作業や緻密な作業が少ない
・独自の発想力や語彙力を活かしやすい
などです。
最初に述べると、佐山の個人的見解は、
「ADHDが営業職に向いている」は半分正解で、半分間違いです。
それは、一度対面の営業職で失敗し、
その後とりあえず就職したコールセンターのパートスタッフでの営業職としてたまたま成功した佐山だから感じた個人的見解に過ぎないという事はあらかじめご了承ください。
しかし佐山の成功体験と失敗体験を下記の点から比較し自己分析することで、
今佐山と同じように働き方を模索し苦しんでいるADHD患者の、
何か社会適合に向けた些細なきっかけやヒントになればと思います。
<コピー機の営業職の失敗・コールセンターの営業職の成功比較ポイント>
①立場の違い
②業務内容の違い
①立場の違い
<a.コピー機の営業職の失敗>
まず、コピー機の営業職の時は、正社員として入社しました。
当然給与も月給制であり、結果が出なくても、
昇給こそ影響しますが、減給というのは中々ありません。
一度雇用契約を結ぶと企業側も簡単には解雇できません。
そのためより一人一人シビアに結果や成果を求められます。
佐山が入社した会社はバリバリの体育会系であり、
作業が遅かったり、失敗したりすると当然厳しく上司に指導されます。
佐山はそういったプレッシャーがかかると注意力が散漫になりやすくなり、
失敗したくないという気持ちから極度に萎縮してしまいました。
人間関係も、長期的に働いたり出世するためには蔑ろにする訳にはいきません。
会社の飲み会であまり話せずにいると、上司に皆の前で注意されたりもしました。
上司の家で休日BBQに行かなきゃいけなかったり、そこでまた上司に気を使ったり、
仕事以外でのストレスというのも沢山感じ、佐山は蕁麻疹が止まらなくなりました。
(もちろんこういった会社ばかりではない)
簡単には辞められないという気持ちが更なる焦りやストレスを生み、
出来ないながらもかなり無理をしてその環境に順応しようと必死なのでした。
どうやら精神的ストレスが溜まると、ADHD特有の症状が出やすくなるようです。
<b.コールセンターの営業職の成功>
現在はコールセンターのアルバイトスタッフとして、個人宅向けの光通信の発信業務に取り組んでいます。
当然アルバイトでも営業職なので、ある程度結果を求められます。
しかし、コールセンターのアルバイトは時給制で、
結果に応じて時給が上下に変動していく求人が多いです。
正社員に比べると、成績や勤務態度などによっては企業側も比較的ですが解雇しやすいです。
社員さんも社員同士では体育会系ですが、アルバイトには優しい人が多い印象。
実はコールセンターは、経験者などで月間稼動時間が多いフリーター、尚且つがっつり件数も稼げちゃう人って、
高給取りで案外煙たがられるケースも多いのです。
そのため個人宅向けの発信業務の場合、稼働時間が短く、夕方以降や土日など、在宅率が上がる時間帯だけ稼動するような初心者の学生の方が企業側からしてもインセンティブなど人件費コストの面で都合が良いのです。
なので、成績がいまいち振るわなくても、厳しく指導されるとまではいかないことも多く、
皆さんがイメージしているほどプレッシャーはかからない気がします。
あまりにも成績が悪くて稼働時間が多いと、えげつない干され方をされる事もあるのでそこは注意が必要です笑
余談ですが、時給は獲得件数ではなく獲得効率(獲得件数÷働いた時間)で決められる会社がほとんどなので、コールセンターだけでがっつり稼ぎたい方は掛け持ちもお勧めですね。
人間関係も、休憩時間など話したいときに、話したい人とだけ話せばいいので、(もちろん良好な人間関係を築く事に越したことはありませんが)
ストレスはあまり感じませんでした。
佐山はアルバイトも含めた飲み会なども平気で欠席します。
「職場が合わなければいくらでもアルバイトの求人はあるんだし、履歴書にも書く必要ないし」、
という気楽な気持ちが、かえって萎縮せずのびのびと業務に集中して取り掛かることが出来て、成績もトップにまで上り詰めた佐山だったのでした。
②業務内容の違い
<a.コピー機の営業職の失敗>
この項目でのそれぞれの営業職の大きな違いは、
内勤メインか、外勤メインか、
上記で述べた正社員か、パート社員か、
です。
まずコピー機の営業職の業務ですが、
既存顧客の会社に電話し、コピー機を掃除しに行くという所からスタートでした。
1日4、5社を訪問し、事務所に戻るという流れです。
バスや電車の乗り継ぎなど細かいスケジュール管理が上手く出来ず、時間通りに事務所に戻れないことが多々ありました。
人前で営業のロールプレイングをすることにも周囲の目が気になりすぎてかなりの抵抗を感じました。
また、コピー機についてなど商材に関する必要な知識が多く、興味を持てなかった佐山は勉強をなかなかしませんでした。
ADHDの症状の1つに、興味が持てないことに関して極端に取り組めなくなる、回避傾向・先延ばしの症状があるのです(もちろん全てADHDのせいにしてはいけませんが)。
そのくせ先輩やお客さんに商品について聞かれたら、分からなかったり自信が無かったりで勝手に萎縮してしまうのです。
この辺のお話は以前別の記事でも記述しているのでさらっとにしときます。
特に苦戦したのは、正社員という事で当然営業職の業務だけではなく、
資料の作成や日報の作成、訪問先の場所を調べている間に受電が来て対応したりと並行作業の頻繁な発生など、
事務的な業務で失敗を重ね、そこで受けた失敗やストレス、焦りが、
メインの営業職にまで悪影響を及ぼすという負の連鎖に陥っていました。
ただ、確かに外回りでお客さんの所に行っているときなどは、
比較的自由度が高く、お客さん先でも楽しいと思えるこが多々あったことも事実ですね。
対面営業という事もあり、営業に関する事はもちろん、
身だしなみやコミュニケーションの部分でやはり自信が持てず失敗する、
という可能性も十分に考えられます(佐山はその悩みに行き着く前に技術職に飛ばされました☆)。
<b.コールセンターの営業職の成功>
一方で、コールセンターの業務は完全な内勤業務です。
電話もPCでヘッドセットをつけて、
用意されたリストにひたすら電話を架けます。
本当に、「電話を架ける」以外の業務というのはほとんど存在しません。
用意されたトークスクリプトを基に、どうやったらもっと件数を伸ばせるようになるかだけをひたすら考えていればいいのです。
実は発信営業のメリットは、知識を詰め込むという作業は二の次三の次な所です。
商品の金額や、メリットなどについてだけとりあえず把握し、
トーク通り明るくはきはきしゃべれれば初日から初心者でも受注出来ます。
あとは分からない事を聞かれたら横で社員が一緒に答えてくれたり、
マニュアルによくある質問への回答集というのがあったりと、
本当に業務自体はシンプルで単純なのです。
知識の優先度が低いからこそ、上記で説明した初心者の学生の需要も高いというわけです。
また、シンプルで単純であればあるほど、
ADHDのメリットにもデメリットにもなる「過集中」と言われる症状が良い形で発揮され、もくもくと佐山は電話を架け続ける事が出来ています。
さらに、コールセンターは対面営業ではなく電話のみのやりとりなので、
余計なことを考えずに、結果を出すために必要なお客との最低限のコミュニケーションだけ注意すればいいというのも楽ですね。
当然お客さんに電話越しで怒鳴られたりクレームを受けることもありますが、
「ま、所詮電話ごしだし」と割り切れる図太い佐山の性格的にもマッチしていたのかも。
あ、余談ですが、
実はリサイクルのコールセンターを掛け持ちしてみようと一度試みたのですが、
PCではなく普通の電話機でひたすら電話するという内容だったんです。
紙に書いてある電話リストにひたすら電話していくんですが、
まー机の上が電話リストの紙だったりトークマニュアルだったりでぐちゃぐちゃ。
コール結果(留守・主権者NG・奥さんNG・検討・見込みなどなど)の記録も、PCで電話している時は画面上の項目にチェックを入れて次、と楽なのですが、
電話機の場合はそれも全て紙で管理し、一回一回結果を管理表に書き込む必要があります。
目でリスト表を追うから同じ番号に立て続けに電話したり、
番号を押し間違えたりとやはり営業要素以外の部分で苦戦し、
1週間で諦めました。
事務仕事やマルチタスクのミスを減らす方法については、
大人の発達障害(ADHD)が仕事でミスを減らし、臨機応変に対応出来るようになった工夫や考え方。 - ちょっとおかしな生きかたの記事を参考にしてみてください。
比較のまとめ・自己分析
①「立場の違い」比較まとめ
・雇用形態が正社員かパート社員かによって、
1.「結果や成果」に対する周囲のプレッシャー
2.良好な人間関係構築の重要性
3.退職に対する考え方・危機感やプレッシャー
などが大きく異なる
・そのため、正社員は営業要素以外の部分で精神的・身体的な負担がかかりやすく、
ADHDの症状が発症し失敗しやすい
②「業務内容の違い」比較まとめ
・正社員の場合、ADHD患者が苦手とされる事務的要素の強い業務やマルチタスクも発生しやすい
・同じ営業職でも対面か電話か、正社員かパート社員かなど、営業の職種・業務内容や雇用形態によって、
1.営業要素の強い業務に配分できる集中力や費やせる時間
2.業務知識習得の重要性・優先順位
3.業務の単純性
4.コミュニケーション能力の重要度・多様性
などが大きく異なる
くどいようですが、今回の内容は、佐山の実体験に基づいて個人的に「感じたこと・たどり着いた考え方」に過ぎませんご了承ください。
そのうえで、上記のような比較をしてみると、
やっぱり「ADHD患者は営業職に向いている」というのは、
半分正解で半分間違いなのかなと佐山は感じました。
確かに営業要素の業務だけに対してなら、
独自の発想や集中力、などなどADHDの特性と、
個人の能力的適性が合わされば、
「内部的要因」の観点ではとても営業職に向いていると思います。
ただし職業の「適性」を正しく判断するには、
そこに、「外部的要因」の観点も考慮しなければいけないのではないでしょうか。
それは上記で記述したように、雇用形態などによって事務的要素の強い業務やマルチタスクが発生したり、人間関係が複雑化したり、精神的なプレッシャーが発生したり。
当然健常者の人でも同様の部分で悩むことはあり、そのため甘えに聞こえるかもしれません。
それでも理解して欲しいのは、
ADHD患者はこの「外部的要因」に著しく全体の成果が左右され、苦しみ、対策しなければならない最も重要な課題だということです。
佐山は大学卒業して、奨学金の返済もこれからというときですが、
しばらくはフリーターとして、職を転々とする覚悟を決めています。
それはこの働く上での「外部的要因」に対する考え方や対策を模索し続けるためでもあるのです。
このブログを更新しているのも、唯一自分が興味を持っていた「書く」ということを、いつか仕事に出来るかもしれないというあがきのうちの1つでもあります。
「外部的要因」に対する有効策は、運なのかもしれない、企業や周囲の理解なのかもしれない、国の就労支援の改善なのかもしれない。事務作業など苦手なことをひたすら練習することかもしれない。
自分なりの答えが出るまで、今の働き方を貫こうと思っている佐山なのでした。
関連記事
大人の発達障害(ADHD)に向いている仕事を、個人的に経験した10の仕事から考える - ちょっとおかしな生きかた
大人の発達障害(ADHD)が仕事でミスばかりし新卒3ヶ月で会社を辞めた話 - ちょっとおかしな生きかた
スポンサーリンク